電話
休日の土曜日の朝は遅い。
だいぶ太陽が高く昇ってから しぶしぶ起きた。
カーテンを開け、窓を開けると冬の風が顔に当たった。
観葉植物に水やりをして、花瓶の水を取り替えた。この部屋に、私以外 生命を感じるものはこの植物だけである。職場の人間関係と、混雑する駅と、満員の電車。昨日までの煩わしさとは裏腹に、穏やかなはずの休日は孤独でもある。
冷蔵庫からペットボトルを出し、ドリップポットにその水を注ぐ。コンロの火にかけ、湯が沸くのをぼーっと待っていると、スマートフォンの着信音が鳴った。
「年末は、いつまで仕事?こっちに戻ってくるでしょう?待ってるから、」
母からだ。
電話を切ると同時に、ドリップポットの蓋がけたたましく沸騰を知らせた。
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