電車
金曜日。
帰りの電車は、すっかり二年前の風景だ。
こんなに人混みの中にいても、心の空洞に風がすり抜けるようだ。
車内。皆スマートフォンに目を向けているか、寝たふりをして目を閉じてやり過ごしているか、他人とは目を会わせないようにしているのだろう。
今日は、電車を降りるときに派手に転んでしまった。人混みをかき分けながら必死でドアへ向かった先、床に置いてある学生のリュックに躓く。
手を差しのべるでもなく、声をかけるでもなく、周囲は動じない。
自力で立ち上がり、慌てて車外へ飛び降りたと同時にドアが閉まり、勢いよく発車した。
何年、何十年ぶりに転んだか、手首も痛いし足も痛い。子供の頃は、よく転んだな、思い出したら可笑しくなった。
プリンでも食べようか。
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